QunaSys Tech Blog
QSCIの古典計算ステップを数百万行列式規模へスケールさせる
Quantum-Selected Configuration Interaction(QSCI)では、量子デバイスが重要な電子配置(行列式)をサンプリングし、古典ソルバーがその部分空間のハミルトニアンを構築・対角化します。選択する部分空間を大きくすれば得られるエネルギーを改善できますが、それは古典ソルバーがそのハミルトニアンを扱える場合に限られます。QunaSysでは、QURI SDK Enterprise向けに開発中のQSCI実装で、この古典計算の両段階を分散化しました。各プロセスが行列の一部のみを保持することで単一プロセスのメモリ上限を超え、富岳上で400万行列式までの計算を実現しました。H18の100万行列式では、ハミルトニアン構築が4プロセスから96プロセスで11.8倍高速化しました。4種類のシトクロムP450モデルでは、比較した最大の部分空間において、テスト対象のSelected Basis Diagonalization実装より8〜17倍高速で、エネルギーは1 mHa未満の精度で一致しました。各系で測定した最大部分空間では対角化が古典計算時間の大半を占め、計算コストは量子ビット数よりもハミルトニアンの密度によってよく予測できました。800万行列式への拡張では、構築時のピークメモリ使用量が次のボトルネックであることが判明しました。次の目標は、疎行列を構築も保存もしない行列フリー固有値ソルバーです。
金融工学の計算に必要な量子リソースの具体的な見積もり — Black–Scholes方程式をLCHS法で解く場合
金融工学の代表的な問題であるオプション価格評価を題材に、Black–Scholes方程式をLCHS (Linear Combination of Hamiltonian Simulation) 法で解く量子回路をQURI SDKで実装し、必要な計算リソースを見積もりました。
流体シミュレーションのための量子回路実装の実証
量子コンピュータの有望な応用先として、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics, CFD)計算が挙げられます。本技術ブログでは、QunaSysインターン上野さんを中心とした社内チームによる研究の成果について報告します。本プロジェクトでは、先行研究に対して実用化のために必要な技術開発と、QunaSysのQURI SDKを用いた量子回路実装及びシミュレーションを行いました。
Early-FTQC向け基底状態エネルギー推定アルゴリズムの実装
こんにちは、ソフトウェアエンジニアインターンの柚木隼人です。 2022年にEarly-FTQC向けのアルゴリズムとして、Heisenberg limitを達成しながら基底状態のエネルギーを推定する手法が提案されました。本記事ではこの論文を解説し、提案された手法をQURI Partsを用いて実装する方法を紹介します。
QSCI法を用いた分子基底エネルギーの実機量子計算の実証
こんにちは、リサーチチームの池田です。 去る2023年12月4日〜6日、ニューヨークで行われたIBM Quantum Summit 2023にて株式会社ENEOS様と我々の共同研究の成果を発表いたしました。本記事ではその共同研究内容についてご紹介します。